支援事例

株式会社鴻池組

創業150周年記念プロジェクト

“未来に残る” “従業員の当事者意識を高める”
コロナ禍で創り上げた「新たな周年事業」のカタチとは?

株式会社鴻池組

“未来に残る”“従業員の当事者意識を高める”そうした150周年事業の新たな形を考え抜き、コロナ禍でWEBを活用した新しい周年事業を成功させました。その成功のポイントやその後の変化について、お話をうかがいました。

株式会社鴻池組 経営管理総轄本部 経営戦略本部 経営企画部 部長

百田 慎治様

経営企画部として、会社の経営方針策定から具体的な戦略実行までを担い、今回の150周年ではコアメンバーとしてプロジェクトを牽引した。

インタビュアー 株式会社リンクイベントプロデュース 技術統括ユニット マネージャー

林 知宏

今回の鴻池組150周年プロジェクトの制作パートナーのリーダーとして伴走。

本事例のサマリ

本施策の目的
『従業員の士気高揚・社員満足度の向上』
▶︎変化の時代に生き残るため、従業員の当事者意識を高め、未来に残る150周年へ
成功のポイント
①組織を動かすプロジェクトだからこそ、当事者意識を強く持ったチームづくりが必須
②変化は簡単に起こせないからこそ、1年をかけたストーリーを4つの観点で描く
③コロナ禍だからこそ、WEBで見える化し、伝播を促進させる

時代を生き抜くため、全従業員が会社創りの当事者へ。150周年を、その「きっかけ」に。

:まずは、創業150周年記念プロジェクトの目的を教えてください。

百田様:鴻池組は1871(明治4)年に大阪で創業し、土木・建築事業を中心として様々な挑戦と実績を積み重ね、2021年に150周年を迎えました。これまでも数々の荒波を乗り越えてきましたが、今後はより一層未来予測が難しい時代となります。そうした時代を生き抜くためにも、従業員には未来の会社創りの当事者になってもらいたいと考えています。一方、以前の従業員満足度調査では『会社の将来に対する希望が持ちにくい』という結果が出たことで、従業員だけでなく会社も変わらないといけないという思いを強く持ちました。今一度、会社は目指す方向を明確に指し示し、従業員も当事者意識を持って会社の未来を考えるきっかけを生み出したい。しかし、日常業務の中で、そうした機会を生み出すのは大変難しく、創業150周年事業をその好機にしたいと考えました。

大正14年に鴻池組が建造した大阪道頓堀のえびす橋
(現在のリニューアルされたえびす橋も鴻池組が建造)

成功のポイント①
組織を動かすプロジェクトだからこそ、当事者意識を強く持ったチームづくりが必須

:私がプロジェクトに参加した当初は、こうした目的と違うイメージで苦労されていましたね。

百田様:30年前の120周年では、お客様や幹部社員を対象とした“お祝い”がメインの祝賀会が行われました。それもあってか、当初周囲の周年事業に対するイメージは「記念式典に有名タレントを呼んで皆が楽しめればいい」といった感じでいわゆる打ち上げ花火的なものでした。

:その当時はプロジェクトメンバーからも、アイデアや提案が出るような雰囲気ではなかったように思いました。

百田様:本格始動に向けてプロジェクトチームに多くの若手メンバーが入ったものの「なぜそんなに負荷のかかることをするのか」という声も上がったほどでした。彼らは会社事を考えるなんて、普段やってもみないことでしたし、どう考えていけばいいのかもわからない状態でした。そこで周年事業のプロフェッショナルであるリンクイベントプロデュース(以下、LEI)さんに入っていただき、周年事業の体制や考えるステップを相談させてもらいました。

:やはり、横断型でプロジェクトチームを組んでも、やる気に温度差があったり、コミュニケーション不足でうまくいかなかったことがよくあります。そうならないためにも、最初の段階で同じ方向を向いていくように目的やゴールの認識を丁寧に合わせていくことが大切です。そうした方法論をお話しさせていただき、プロジェクト会議にも参加させていただきました。

百田様:そうしてLEIさんと「周年事業を何のためにするのか」「周年事業のゴールは何か」を考えていく中で、徐々に皆の会社に対する想いがあふれ出し、それを共有できたことで、会社づくりへの意識が高まっていったのだと思います。その後は、「こうしたら従業員の会社について考える意識が高まっていくのではないか」「こうしたらもっと会社の未来を考えることができるのではないか」という意見が積極的に出るようになり、まさに最初に「当事者意識」を強く持ってくれたのがプロジェクトメンバーでした。この最初のチームづくりが成功に向けた大切なプロセスだったと思います。

成功のポイント②
変化は簡単に起こせないからこそ、1年をかけたストーリーを4つの観点で描く

:他にも成功に向けたプロセスを挙げるとしたら、何がありましたか?

百田様:周年事業全体の設計にあったと思います。LEIさんには、周年イヤーとなる1年間をかけて様々な施策を繋ぎ、徐々に全社の温度感を上げていくという視点がありました。周年といえば、メインの式典イベントに力点を置きますが、2000名を超える従業員に対し、「会社づくりの当事者化」と言って式典単発ですぐに変化が起こるほど簡単ではないからこそ、周年事業の施策には、考える機会、参加のしやすさにもバリエーションを持たせる必要があると感じました。

:私たちは、そうした周年事業を点ではなく線となるストーリーで設計することを大切にしています。その議論の中で、メンバーの意見を採用して繋げていくことで、最初の案よりもどんどん良くなっていったのが印象的でした。

百田様:それが私も嬉しかったです。そうすることで「未来志向」「一過性のものではない」「未来に残る」「全員参加」といったキーワードで、全従業員がワクワクできる150周年にしたいというチームの思いが1つになり、周年イヤー1年間の施策をつくり上げていきました。
 
 

 

創業150周年プロジェクトの施策例
(その他様々な施策を実施)

<物理的に残る>

【長期ビジョン】
150周年を機に2050年に向けた長期ビジョンを策定。「ジュニアボード」の提言が長期ビジョンに織り込まれた。

 

【記念品】
永く使い続けられるものとして、環境対応を意識して選定。

 

【フォトコンテスト】
「後世に残したい鴻池組の今」をテーマに、工事や執務の様子など幅広く募集。

 

<制度に残る>

【会社を良くする未来選手権】
会社を良くするための提案制度。全従業員にワークショップを実施し、部署ごとに制度案を提案。各支店で選抜を行い、代表案を従業員にWEBプレゼンし、全従業員投票を実施。選ばれた制度については有志によるプロジェクトを組成し、制度化に向けた取り組みを行っている。

 

 

【夢グランプリ】
鴻池組で実現したい社員個々人の夢を募集。

 

<インパクトとして残る>

【ジュニアボード×起業家セッション】
若手社員から選抜された「ジュニアボード」が、まさに世の中を変えている起業家と会社の未来を語り、長期ビジョンに対する提言を行う。

 

 

<全員参加>

【150周年特設サイト】
150周年事業を全従業員に向けた取り組みとして身近に共有していただくためのプラットフォームとして制作。全社員の写真をカウントダウン式に掲載するなど社員の参画感を高める工夫を取り入れる。
 
【WEB式典】
150周年特設サイト内に特設ページを開設。社長メッセージや祝辞をはじめ、長期ビジョンの発表をムービー配信で実施した。

 
 

:2021年は、コロナ禍での150周年プロジェクトとなりましたが、不安はなかったでしょうか?

百田様:周年イヤーのメインイベントだった式典のリアル開催は中止せざるをえませんでしたが、150周年プロジェクトとして従業員参加型となる様々な施策を線で設計していたことで、大きな不安はなかったです。150周年社内特設サイトを作ったり、リアル式典をWEB式典に切り替えたりという作業は大変でしたが、WEBに移行するだけで目的がブレることはないと思っていました。

:具体的な施策を考える時のポイントを教えてください。

百田様:それは周年事業の施策を4つの観点で繋いだことです。まず、周年を一過性のものではなく、未来に残るものにするために、“物理的に残る” “制度に残る”という観点。そして、全従業員や組織を動かすために、“インパクトとして残る” “全員参加”という観点です。

成功のポイント③
コロナ禍だからこそ、WEBで見える化し、伝播を促進させる

:150周年プロジェクトを経て、百田さんや経営層の方の率直な感想はいかがでしたか?

百田様:150周年ということで、WEBの特設サイトへの注目度は非常に高く、社員の写真による日替わりカウントダウンがサイトを盛り立て、社員参加型にこだわったコンテンツがアップされたり、進捗が更新されることで、高いPV数で繰り返し見ていただけるものになりました。「誰も参加してくれなかったら…」という不安をよそに、施策への応募件数も想像以上で、プロジェクトチームでは連日嬉しい悲鳴が上がっていましたね。WEB中心という形式で盛り上がるか心配していた経営層にも、「非常に楽しめる企画ばかりで良かった」と言っていただき、全社員参加型は新しい形での好事例ができ、本当にやって良かったと思っています。

 

:従業員に変化は見られましたか?

百田様:『未来選手権』で提案された制度化づくりを公募でメンバーを集めたのですが、10名以上の従業員が手を上げてくれました。彼らは自分たちの提案が選ばれた訳ではないのに、「会社の未来を考える機会そのものが非常に貴重だったので挑戦してみたい」と応募してくれました。こうしたプロジェクトの全貌をWEBで見える化したことで、未来志向で考える従業員が確実に増えていることを実感できましたし、それに刺激を受けてくれた従業員も多く、それは「『ジュニアボード』や『未来選手権』を毎年開催してほしい」という多数の声にも現れています。さらに、「従業員発信ができる組織になった」という声もいただき、変化を生み出すことができたのだなと私自身も実感できました。

:企画当初狙っていた「当事者意識を高めていくことができた」と。

百田様:はい。ただそれは、当然100%ではなく、まだまだこれからだと感じています。150周年を経て感じたのは、これまで従業員が積極的に発信できる機会が少なかったということ。私はそうした機会を増やし、この比率をどんどん上げていきたい。そうすれば、必ずや強い組織になると信じています。さらに若い力がプロジェクトを受け継ぎ、新しい鴻池組への変化を促進してくれたらと願っています。

:確かに、周年の時は盛り上がったけど、周年が終わったら気運が下がっていき、結局変化の動きが停滞してしまうことは多くの企業で起こりがちです。だからこそ、150周年事業はその先も見据えて取り組むことが大事だと思います。

百田様:実は、既にLEIさんには151年目に向けて一緒に動いてもらっています。これまでもプロジェクトチームづくりからプロジェクトの推進、企画の実行・実現までを力強く支援していただき、これからの鴻池組の進化をともに考え、一緒に伴走いただけるパートナーが存在することは心強いですね。150年続いた鴻池組をさらに発展・充実させて未来へ継続させるためにも、未来志向で、従業員やお客様、そして社会に向き合い続けていきたいと思います。

本事例のサマリ

本施策の目的
『従業員の士気高揚・社員満足度の向上』
▶︎変化の時代に生き残るため、従業員の当事者意識を高め、未来に残る150周年へ
成功のポイント
①組織を動かすプロジェクトだからこそ、当事者意識を強く持ったチームづくりが必須
②変化は簡単に起こせないからこそ、1年をかけたストーリーを4つの観点で描く
③コロナ禍だからこそ、WEBで見える化し、伝播を促進させる
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