支援事例

荒井商事株式会社

創業100周年事業 ― ワクワクで、次の100年を創る ー

創業100年をきっかけに、これからのビジョンを実現できる会社づくりを。
そのために欠かせなかったプロセスとは?

荒井商事株式会社

高品質な日本の中古乗用車・商用車・建設機械を世界へ送り出す「オークション事業」、食品の生産・貿易から卸売・小売までを網羅して行う「食品流通事業」を主軸に、幅広い事業を展開する荒井商事株式会社。2020 年に創業100周年を迎えた同社は、さらなる成長と変化を見据え、社員主導の100周年事業に取り組みました。その効果や変化、どこに成功のポイントがあったのかを、運営委員会の統括リーダーを務めた藤原様に伺いました。

荒井商事株式会社 人事部長

藤原 正英様

人事領域で、主に採用、教育、人事制度の制定や運用のリーダーを担う一方、コーポレートブランディングにも携わる。今回の100周年事業では『2020年委員会』の統括リーダーとして、10名の委員と共に100周年事業の企画と実行を牽引した。

本事例のサマリ

本施策の目的
新たなビジョン・バリューの浸透と組織風土の変革
成功のポイント
①組織診断サーベイを用いた課題特定と、その結果をふまえた周年ゴールの設定
②周年ゴール実現にむけたストーリーと施策の丁寧な設計
③プロジェクトを成功に導くチームづくり
④周年ゴールとストーリーという軸をブラさないプロジェクトマネジメント

100周年を契機に、企業変革に挑む

Q.100周年事業の背景・目的を教えてください。

荒井商事は、100年間積み上げで成長をしてきた会社ではありません。大正9年に米穀卸売業として創業し、近年では中古車オークション事業と食品流通事業を軸に成長を続けてきましたが、時代の変化の中で常に新たな挑戦を続け、事業も人も変化し続けてきた会社であり、100年はその結果でしかありません。100年後も選ばれ続ける会社であるために、私たちは常に新しい変化を生み出し続けなければならない。しかし、現状の風土でそれが実現できるのかという危機感を持っていました。そこで、2020年に創業100周年を迎えるにあたって、改めて荒井商事の企業価値を明確にし、荒井商事はどこを目指すのか、そしてどのような姿勢を大切にするのかを全社員と共有し、大きな変化のきっかけにしたい、という想いがありました。

 

Q.外部パートナーとして、リンクイベントプロデュース(以下、LEI)を選ばれた理由とは?

100周年事業といえば、社内外に向けた取り組みが必要だとわかってはいても、社内にナレッジがないため、プロの力を借りようということになりました。様々な会社の話を聞く中で選ぶ基準となったのが、単にイベントをやろう・社史をつくろうという施策パートナーではなく、この事業の目的を見据え、総合的なコンサルティングを行い、一緒になって考えてくれるパートナーであること。LEIさんは、周年の目的やゴールの大切さ、周年事業の設計においてどのようにステークホルダーを巻き込んでいくべきかというストーリー設計のノウハウ、さらに周年式典をはじめとした各種施策の実績も豊富だったことに魅力を感じました。さらにリンクアンドモチベーショングループの総合力を活かし、組織診断サーベイから理念体系の再構築、CI・VI改訂、各種コミュニケーション施策の企画制作までをワンストップで支援していただけるところも安心できました。まさに、1本筋が通った周年事業で企業変革に取り組むには最適なパートナーだと思ったのです

周年事業で大きな組織を動かすための3つの流れ

Q.100周年事業の企画は、どういった流れで進んだのですか?

❶まずは、旗振り役となるチームづくりから始めました。やはり一番避けたかったのは、全社員がしらけっぱなしということ。全社員とはいかなくともなるべく多くの社員に、他人事ではなく自分事として捉え、前向きに楽しんでもらいたい。そのためにも役員や部長の指示ではなく、組織横断かつ若手~中堅中心のチーム主体で推進していこうと、様々な部署や拠点から人を募り、『2020 年委員会』を立ち上げました。

 

❷次に、今会社が抱えている課題・問題を探るべく組織診断サーベイを実施しました。その結果、課題として浮上したのが、理念とコミュニケーション。要は理念が漠然としており、社員の拠り所として機能していないこと、そして事業・組織間の壁が厚く、全社をまたいだコミュニケーションが弱いという課題が明確になりました。その2つの課題解決を周年事業のゴールとして設定し、元々存在していたミッションに加える形で、新たなビジョン・バリューの策定を行っていきました。

リンクアンドモチベーション・リンクイベントプロデュースと共に新たなビジョン・バリューの策定を実施

❸その後、委員会でワークショップを実施。LEIさんのファシリテーションのもと、周年の目的とゴールを共有し、ゴール実現のために課題になりそうなことや取り組むべき施策を全員で考え抜き、周年事業の施策ストーリーを皆でつくりあげていきました。社歴・役職も関係なしに、それぞれが日常感じている想いをぶつけ合い、アイデアを出し合い、当事者として創り上げていったことで、実効性の高いストーリーと施策ができあがりました

 

 

 

Q.100周年事業の実制作において、印象的だったことはありますか?

私が一番緊張したのは、「コーポレートロゴを変えたい」と経営層に提案したこと。ビジョン・バリューの策定の過程で企業価値が明確になったことで、その想いを社外に伝えていくためのCI・VIの改定が必要だと思ったのです。しかし、創業から100年変わったことのなかったロゴマークですから、どんな反応が返ってくるかと緊張しながら伝えました。すると、「良い機会だ」と即決で快諾していただき、逆に「いいのですか?」と尋ねてしまうほど驚きました。社長は周年事業に対して「どんどん挑戦してほしい。委員会メンバーが考え抜いてやりたいと思ったことを否定することはない」と常に期待を込めて背中を押してくださいました。経営層からも委員会の提案に対して頭ごなしに駄目だしされるようなこともなく、私もメンバーも自信を持って挑戦することができたのです。
それゆえに、10を超える施策を1年半の周年事業期間の中に詰め込んでやっていこうということになり、「それはちょっと多いんじゃないですか?」とLEI さんに言われたこともありましたが、最終的にはほぼすべて形にしていただきました(笑)。

100年続いたコーポレートロゴから、新たなメッセージを込めたロゴへと刷新

 

 

※CI(コーポレートアイデンティティ):企業全体としての企業理念を全社員、関連取引企業、消費者に明確に伝達し、企業としての姿勢を理解していただくための活動。
※VI(ビジュアルアイデンティティ):ロゴやマークなど視覚的手段によって表現されたブランド要素のこと。CIの重要な要素となる。

100周年事業を通じて、社員の意識の大きな変化を実感

Q.100周年事業を実施してみて、率直な感想を教えてください。

2020年1月、従業員が全員参加した社内向けの『周年キックオフイベント』の開催を皮切りに100周年事業がスタートし、約1年半をかけて10を超える施策をストーリーに沿って実施。2021年8月の『締めくくりイベント』でクローズしました。その最初から最後まで、これまで社内で前歴の無い新たな挑戦の連続に、コロナ禍という想定外の事態も降りかかり、とにかく必死で走り抜けたというのが感想です。100周年というきっかけがなかったらここまでできなかったでしょうね。100周年だしやっちゃおう!と皆でいろんな挑戦ができてよかったと思っています。いくつか所感を挙げると……

周年キックオフイベント』では、「荒井商事らしくないイベントで驚いた!」「会社の本気を感じた」という声が数多く上がるほど、「変化の兆し」を印象づけることができ、そこからスタートする100周年の様々なプロジェクトへの期待値を一気に高めることができました。

 

100の約束座談会』では、部署や拠点の垣根を越えた、総勢60名の社員が手を挙げて参加してくれて、こんなにも面白くて熱い人財が当社にもいるんだと再発見する場にもなりました。座談会の最後には、社員一人ひとりが未来への約束を宣言。その内容を記念本にしたことで、社員の想いを社外のステークホルダーにも共有することができました。

 

 

共通趣味コミュニティ』は、その名の通り、社員の趣味で繋がる社内SNS。業務という枠を超えたコミュニケーションツールとして多くの社員に浸透しており、100周年後も継続されていきます。

 

 

 

ARAI VISION VALUE AWARD』の新設。100周年をきっかけに策定・浸透を進めてきた新ビジョン・バリュー(VV)がこれからも大切にされ続け、VVを軸とした行動が生まれ続けるために、VVを体現した社員や仕事を表彰する表彰制度をつくりました。その記念すべき第1回の表彰式を100周年の『締めくくりイベント』内で実施。これからもこの表彰はずっと継続されていきます。

 

Q.印象的な感想の声があれば、教えてください。

印象深かったのは、『締めくくりイベント』中に集まった社員の声ですね。このイベントはオンラインで行ったのですが、最後のエンディングで「未来に向けて、私が大切にしたいことは?」という問いでリアルタイムアンケートを実施したんです。その時、「バリューとチームワークを大切にしたい!」「コミュニケーションズを大切に ALL Win を目指します!」など、この周年で伝えてきたメッセージが社員それぞれの言葉で発信されていました。それを見た社長がとにかく嬉しそうで、ニヤニヤが止まらなかったのが印象的でしたね。社長からも「徐々に浸透してきているんだな、同じ方向を向いているんだな、同じ思いを共有できていることが本当に嬉しい」という声をいただき、意識レベルでの変化を実感し、ここまでたどり着けたんだという達成感を味わうことができました。

 

長期プロジェクトだからこそ、目的とゴールをブラさないプロジェクトマネジメントが重要

Q.施策やプロセスの中で、成功のポイントはどこにあったと思いますか?

先ほど話した、企画における3つの流れもポイントでしたが、振り返って一番感じたのが『プロジェクトミーティングの推進方法』が大きなポイントだったということです。周年事業は、足かけ3年となる長期プロジェクトですが、正直、過去にこうした長期プロジェクトを始めても尻切れトンボになることが多くありました。しかし、今回は最初に目的・ゴールを明確にし、その実現のためにこの施策をやろう、このストーリーにしよう、と丁寧に議論しながら皆で全体像を描きました。その後も毎回ミーテイングの度に目的・ゴール・全体像に立ち返り、そこからブレていないかを確認しながら進めていきました。迷いや不安があっても、コロナ禍で施策の大変更があっても、そうした拠り所があることで目的をブラさずやり切ることができたのです。目的とゴールに常に立ち返りリマインドし続けるという、このプロジェクトマネジメントの仕方をLEIさんに主導していただき、私たちも大いに勉強させてもらいました。

 

Q.100周年を経て、荒井商事はどう変化・進化していきますか?

100周年事業で実現したかったゴールには到達しましたが、まだまだ道半ば。この100周年事業で得た変化・成果を、継続・進化させていかないといけないと考えています。その先に何が起こるかというと、当社のビジネスがもっとよくなると思っています。全ての社員が自信を持ってミッション・ビジョン・バリューを語れるようになり、違う部署同士のコミュニケーションから新たな商売のタネや、ミッション・ビジョン・バリューにもとづいた新たなビジネスが出てくるなど、理念や社員のコミュニケーションが、事業そのものを大きく動かしていくというのが理想です。少なくとも、今回そのファーストステップは踏み出せました。これからは、皆が理念を気に入ってくれて、新たなカタチへと変化させ、次の100年も成長し続ける会社へと進化を果たしていくことを目指していきます。

周年キックオフイベント

周年キックオフイベント

100の約束プロジェクト

ビジョン・バリューポスター

周年記念セット

締めくくりイベント

100周年事業に関わった社員の声

 
荒井商事株式会社 オークション・カンパニー ベイサイド支店 業務管理グループ 書類チーム 係長
奥平 寛子様
中古車オークション事業における業務管理部門に所属。100周年事業では『2020年委員会』の一員として、『周年キックオフイベント』と、『100の約束プロジェクト』の主担当を務めた。

Q.なぜ、『2020年委員会』のメンバーになろうと思ったのですか?

奥平様:社内公募が始まった2018年は、私が中途入社してちょうど10年目。その10年間で支店の現場と本社の管理部門を経験して、温度差があることを感じていました。というのも、本社には現場の大変さが全然伝わっていないと感じましたし、現場は「どうせ本社の人間は何もわかっていない」と想像で話をしている。それぞれの誤解や温度差をなんとかしたい、会社の風通しをもっと良くしたいと思ったのがきっかけでした。その温度差を埋めるのは個人では限界があると感じ、100周年事業に便乗して、会社をもっとよくできないかなという魂胆があったのです。

Q.周年事業を通じて、会社や部署に変化はありましたか?

奥平様:新たにビジョン・バリューができたことで、私たちの日々の思考や行動に落としやすくなったと感じます。先日、クレーム対応で判断に迷って上司に相談した時、「ビジョン・バリューにのっとって判断をしてみなさい、失敗は歓迎するから」と言っていただきました。また、一見間違って見える行動も、「顧客目線で考えているから、素晴らしい」「君のやっていることはビジョンにはまっているから大丈夫」と言っていただけたことで迷いを乗り越え、お客さまに喜ばれたこともあります。様々な場面で、ミッション・ビジョン・バリューが迷った時、踏み出す時の拠り所となっているというのは、これまでにない変化だと思います。

Q.今後、荒井商事がどんな会社になってほしいと思いますか?

奥平様:私は、社員もお客さまも、みんな笑っていてほしいと願っています。仕事って、楽しいことばかりではないけど、苦しみながらやるものじゃない、みんなが笑顔でワクワクして働ける会社になってほしいのです。『2020年委員会』は、想像以上にハードな仕事になりましたが、社員の方々を笑顔にしたくて全力で駆け抜けやりきった2年半、荒井商事は、もっと変わる、変われる、ワクワクできることを多くの社員に実感していただくことができました。今後は、「会社をもっとよくしたい」という想いを受け継ぐ後進を増やし、彼らの支えになる存在となって、よりよい会社にしていく一助になっていきたいと思っています。

 

荒井商事株式会社 総務部総務課 主任
橳島 康様
会社と社員を繋ぐ仕事が多く、各拠点から寄せられる相談への対応、会社から社員への発信業務などを担う。今回の100周年事業に参加者として積極的に参画し、『締めくくりイベント』の表彰式では、ビジョン・バリューの体現者として表彰を受けた社員でもある。

Q.100周年事業の中でも、印象的だった施策は?

橳島様:最初の『周年キックオフイベント』が印象的で、これまでの荒井商事らしくない新しさを感じました。まず社員一同に集まるイベントが入社以来ほとんどなくて、私は総務として社内の人とコミュニケーションをとる仕事なので、社内の人とリアルに会えるということで、本当に楽しみにしていました。実際のイベントでは、同世代の方とのワークショッププログラムもあり、すごく新鮮。また、100周年事業の全貌が発表されたのですが、新たなビジョン・バリューのお披露目や拠点・部門間を超えた様々なコミュニケーション施策が発表されて、ワクワクしましたね。なによりそこで、『2020年委員会』のメンバーがステージにあがり、堂々とプレゼンテーションをしている姿を見て、会社づくりを社員が先導して動かしていくというのがすごく新しく、何か大きな変化を感じた瞬間でした。

Q.周年事業を通じて、ご自身に変化は?

橳島様:100周年の『締めくくりイベント』で表彰をしていただき、本当に驚きました。総務って裏方のイメージが強いですが、その中で自分の判断でやってきた仕事や仕事に向き合う姿勢が評価されて、大きなモチベーションになりました。同時に、他に受賞されたみなさんの『ここがいいな』『真似したいな』と私が思ったように、ビジョン・バリューに基づいた評価や指標は多くの社員にも伝わったと思います。この表彰をこれからも続けていくことで、社員にとってビジョン・バリューはもっと身近に、自分事化できるようになると思います。

 

本事例のサマリ

本施策の目的
新たなビジョン・バリューの浸透と組織風土の変革
成功のポイント
①組織診断サーベイを用いた課題特定と、その結果をふまえた周年ゴールの設定
②周年ゴール実現にむけたストーリーと施策の丁寧な設計
③プロジェクトを成功に導くチームづくり
④周年ゴールとストーリーという軸をブラさないプロジェクトマネジメント
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