目的実現に向け、従来から続いていた表彰の形式を改革。
「特別番組」と「ランディングページ」を軸とした新たな表彰の形に挑戦!
日清食品ホールディングス株式会社では、グループのブランド価値向上に貢献した従業員を称える『NISSIN CREATORS AWARD』を毎年開催しています。2020年度は、日清の理念・DNAである「創造的精神の浸透」と「従業員のエンゲージメント向上」という目的実現に向けて、従来の表彰式のみの実施という形式を大きく変え、「特別番組」と「ランディングページ(LP)」を軸とした新たな表彰の形に挑戦しました。この改革の効果と成果について、事務局と受賞者双方の視点からお話をいただきます。
人事部 係長
熊谷 崇 様
プロジェクトの責任者。過去のAWARDを知る存在。経験を活かしたアドバイスや、社内調整に奔走し、メンバーを支えた。
人事部 係長
竹内 富貴 様
プロデューサーとして全体の企画を行うと共に、表彰式当日の司会進行役も務め、プロジェクトを牽引。
人事部 主任
西本 亮 様
受賞案件の選考や表彰式を主に担当。選考にあたっての準備や表彰状準備、受賞者の段取りなど関係者との細かい調整業務も遂行。
人事部 主任
尾﨑 智奈美 様
社内への情報発信担当。LP掲載コンテンツの考案や従業員の興味を引く発信を行った。
熊谷:日清食品グループでは、『EARTH FOOD CREATOR』をグループ理念として掲げており、その体現のためには、従業員一人一人が『創造的精神』を持って、日々の仕事に向き合っていくことが不可欠と考えています。そこで、『NISSIN CREATORS AWARD』では、そんな日清食品グループらしい『創造的精神』を体現したプロジェクトの功績を称える表彰式を2015年から行なっています。
竹内:このAWARDの目的は、『創造的精神の浸透』と『従業員のエンゲージメント向上』です。このAWARDで『創造的精神』を体現したベストプロジェクトをシェアすることで、従業員のみなさんに、粘り強い取り組みや工夫によって成果を出している仲間の姿を知っていただき、受賞者には自身の仕事に「誇り」を持つことで、互いに仕事へのエンゲージメントを高めてもらうことを狙いとしていました。
熊谷:実はこれまでのAWARDはCEOが表彰状を授与するという表彰式のみの実施でした。今振り返ると、表彰式を無事終わらせることに集中し、目的達成のためのAWARDにはできていなかったように思います。2019年のAWARD後に、トップから「本質を捉えていない」という指摘があり、さらに受賞者以外が当事者意識を持ちづらいという課題も顕在化したことで、表彰式を大きく見直すことを決断しました。しかし、自社にノウハウがなく、内製にも限界を感じ、外部パートナーの力を借りることにしたのです。
竹内:私たちは最初「表彰式をお祭りムードにすればもっとアピールできるのでは」という思いがありました。他社さんからは「こうやったら盛り上がります」という提案が多い中で、LEIさんは違いました。私たちの目的をしっかりと捉えた提案をいただき、AWARDの在り方を議論する中でLEIさんから気づかされる部分も多く、とても頼もしく感じてパートナーに選びました。そこから、2020年は『従業員が目指したくなるAWARD』をコンセプトに、どう従業員に関心を持ってもらい自分ごと化できる場としていくか、またそのためにどのようにしてAWARDのプレゼンスや価値を上げていくかをともに考えていきました。
尾﨑:今回は、まず多くの従業員に興味を持ってもらうために“情報発信”にこだわりました。その1つ目が「ランディングページ(以下:LP)」の新設。まずは、楽しみながら、気軽に情報をキャッチしてもらえる環境を提供し、案件の魅力が伝わる動画の掲載や、各施策までのカウントダウンの実施など、コンテンツの見せ方にも細部まで徹底してこだわり抜きました。
西本:表彰式の在り方も大きく変えました。これまで従業員への発信は、表彰式の生中継のみ。中継を見ている従業員は当事者意識を持ちづらかったり、案件の成果創出プロセスも十分に伝え切れていない状態でした。もっと従業員に伝えられること・伝えたいことがあると考え、今回は「特別番組」という仕立てで、優秀賞を受賞したプロジェクトの裏側を追う30分程度の番組を制作し、配信を行いました。受賞者インタビューを中心に構成しましたが、受賞者から語られる『創造的精神』への熱い想いが多くの従業員に伝わるように、ストーリー仕立てで熱量を感じられる内容に作り上げました。
竹内:そして、今回から新たに『従業員特別賞』を新設しました。これは優秀賞を受賞した7案件の中から、従業員投票で選ばれた1案件に贈られるもので、それを「特別番組」で盛大に発表しました。従業員投票によって、より多くの従業員がAWARDに参画でき、自分ごと化できる仕掛けとしたのです。
竹内:手前味噌ですが、アンケート結果を見ると、従業員からの反応が非常に良くて…。「自分もより創造的に仕事をしたい」「日清食品グループのすごさを認識することができた」など、創造的精神への共感や仕事へのモチベーション向上のきっかけになったことがよくわかりました。受賞者だけでなく、従業員全体に良い影響を与えることができたのは、今回の大きな成果だったと思います。
尾﨑:特に、「昨年と比較してどう感じましたか?」という質問に対して、ポジティブな回答が約90%、他にも、「他部門の功績を知る機会になりましたか?」という問いにも約95%のポジティブな回答をいただき、まさに狙い通りのAWARDになりました。そして、何より嬉しかったのが、「今後、受賞したいと思う人が増えたと思います」「自分がこの動画に出ることを目指して、仕事をしようと思います」という言葉も目にすることができて、従業員に響くものを提供できたのだなと、胸が熱くなりました。
西本:私たちは、素晴らしい仕事や誇りを持ってがんばっている人にスポットライトを当てたい、それをみんなで称え合える風土をつくりたい。そんなチーム全員の想いが、成功のポイントの1つだったと思います。そんなAWARDを通じて、会社のことをもっと好きになってもらって、自分の仕事に誇りを持ってもらうことにより繋げていければと感じています。
竹内:AWARDを改革するためには、目的をぶらさずプロジェクトを推進することが大切でした。「どんな反応をされるだろう」とか「従業員に負荷をかけてしまうけど大丈夫か」、そういった配慮で無難に終わらせる方に考えがいってしまうこともありました。その度に、なにを実現するためのAWARDなのか、目的をぶらさずにきちんと言語化したことで、関係者からの共感を得ることができ、円滑に進められたと思っています。
尾﨑:確かに、上層部の方が「いいじゃない、やってみなよ」と応援して背中を押してくれる環境に力をもらいました。つくりあげていく瞬間は、毎日夢に見るほど必死で追われる日々でしたが(笑)、応援してくれていることで、みんなでアイデアを出し合い、いいものになる!面白くなる!という日々良い方向へ変化する手応えがモチベーションとなって、振り返ればすごく楽しい日々でした。
熊谷:昔は限られたコストゆえに、外部に頼むことは難しいと思っていましたが、AWARDをより効果的に機能させていくためには、もっと早くプロに相談すべきだったと思います。2020年度はAWARDの存在や意義の認知に成功し、目的となる『創造的精神の浸透』『従業員のエンゲージメント向上』にも繋がったことで、次年度に向けた確固たる土台づくりができました。今後は、グループ会社やグローバルにもより深く広げていき、グループ一体となって盛り上げるAWARDへ、もっと従業員が目指したくなるAWARDへと進化させ、日清食品グループの発展に欠かせない戦略の1つとして進化させていきたいですね。
日清食品ホールディングス株式会社 IR室 主任 淺井 英光 様
日清食品ホールディングス株式会社 デザインルーム 課長 勝山 直美 様
※掲載当時
受賞作品紹介
日清食品ホールディングス株式会社が発行した『アニュアルレポート2019』は、世界最大規模のアニュアルレポートのコンペティション『International ARC アワード』で最高賞を受賞。昨年も最高賞を受賞しており、2年連続での最高賞受賞は世界初の快挙。同時に『NISSIN CREATORS AWARD』も今回、前回と2年連続で優秀賞を受賞している。
勝山:アニュアルレポートは海外投資家向けのツールなので、従業員でも知らない人が多いんです。それが対外的な評価だけでなく、社内表彰を通じて注目していただくことで、「IRツールにも、ここまで創造的精神を発揮している会社なんだ」と、知ってもらえる入り口になることが、私の一番のモチベーションです。
淺井:制作時は様々な苦労の末に「みんなでがんばって、すごくいいものができた」とチームで話していた中で、AWARDの優秀賞に選ばれたと連絡がありました。すぐに勝山さんに連絡して「やりました!2年連続受賞しました!」と、飛び跳ねて喜んだ記憶があります。
淺井:まず、「従業員投票」や「特別番組」という施策のおかげで「面白いものつくったね」「見たよ、投票したよ」など、前回の受賞にはなかった数多くの方からの反響があって驚きました。
勝山:インタビュー動画では、自分の言葉で語る機会をいただけたのが初めてで、話しながら大変だった1年間が走馬灯のように記憶を呼び起こされ、感動が蘇ってきました。そこで淺井さんが、チームワークの大切さや、そこにかけていた熱い想いを語ってくれて、自分たちのがんばりや大切にしてきた精神を再認識できたことが大きな価値でした。
淺井:そう、振り返ると「楽しかったな、すごくいいチームだったな」と改めて気づくことができたんです。また、「特別番組」ではインタビュー動画をストーリー仕立てで配信してもらえたことで、「すごい苦労があった中でいいもの作ってくれて、ありがとう」など、称賛のコメントもたくさんいただき幸せでした。
勝山:大きな改革を感じました。今までは、受賞者が表彰されるためだけの場というイメージでしたが、今回は受賞者のためだけでなく、従業員に広く経験や想いを伝えるプラットフォームへと変わりました。
淺井:例えば従業員特別賞をとった『バイオマスECOカップの開発』のように、将来のためになるものを開発して、それが社内表彰されたのを見ると、会社のことをもっと好きになります。受賞者の苦労話や、どういう取り組みで生まれたのかを知ることで、私も学ぶところが多くありますし、その話題を投資家にも熱量を持ってアピールできるので、全てにおいてプラスのループになっていくと思います。
淺井:私はIR担当として、「日清ってワクワクさせてくれる会社だよね」と、投資家の方々により強く『創造的精神』を伝えていけるような、取り組みやコミュニケーションを続けていきたいです。
勝山:日清って、ユニークであることを肯定してもらえる、懐の広い環境があります。一方で、従業員の中にはまだまだ挑戦できていない人も多い。だからこそ、「勝山が面白いことをやっているから、私もやっていいんだ」と、チャレンジする背中を押して、伝播する存在でありたい。この受賞を通じて『創造的精神』の伝道師となり、従業員のチャレンジのきっかけになれたら、こんなに嬉しいことはありません。