支援事例

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社 空質空調社
『Make New Waveフォーラム』

パナソニック(株)空質空調社が仕掛ける!
事業成長のための「一体感醸成」への取り組み

パナソニック株式会社

2022年、パナソニック株式会社では新たな事業体制として「空質事業」と「空調事業」が融合し、空質空調社を設立しました。世界的に市場が拡大している「空気」と「水」をかけ合わせた環境配慮型の製品・システムを展開し、2023年には将来的に重要度が増す水事業に注力するため、水ソリューションズビジネスユニットを新設。
ブランドスローガン『空気から、未来を変える。』という想いの実現に向けて、スピード感の高い事業成長・組織改編などを推進しています。一方で、大きなうねりとなる“組織変化”は、時に組織をネガティブにさせます。そこで水ソリューションズビジネスユニットでは、このタイミングを活かし、事業成長のための「一体感の醸成」への取り組みを果敢に仕掛けています。同社の施策、その効果や変化、実現に向けた想いについて、お話を伺いました。

支援内容:1dayワークショップ(2開催)
支援方法:コンサルティング、プロジェクトミーティング設計、当日進行・運営
参加者:パナソニック株式会社 空質空調社 水ソリューションズビジネスユニット 約120名
支援期間:2023年8月30日、2024年4月8日
制作期間:それぞれ約3ヶ月

パナソニック株式会社 空質空調社
人事センター

藤野 大 様

2009年、人事の道を志し、新卒でパナソニック株式会社に入社。人事のキャリアを家電事業からスタートさせ、2017年から空調事業へと異動。
そこで中国におけるエアコン販社の立ち上げに人事責任者として参画し、人事をはじめ会社づくりの全プロセスに奮闘した。
2022年より、空質空調社において、人・組織・風土という人事の原点となる施策に取り組んでいる。

本事例のサマリ

本施策の目的
事業再編 / 組織変化における、社員の「不安払拭」と「一体感の醸成」

【読んでいただきたい方】
・組織の大転換期(M&A、組織統合など)における組織課題をお持ちの方
・メーカー大企業の組織風土変革の取り組みを知りたい方
・事業統合 / 再編等、組織変化のタイミングにおける一体感醸成をしたい方
成功のポイント
①オペレーティブ”ではなく“イノベーティブ”な意識で取り組むこと
②コンセンサスを得て、貫いて、実行するための強い意思・想いを持つこと
③トップや責任者をしっかり巻き込むこと

変革の先にあるミッションや存在意義は、すぐに組織には伝わらない

Q.まずは、水ソリューションズビジネスユニットについて、教えてください。

藤野:2022年、空質空調社は、空調機器、空質機器、温水システム機器を扱うパナソニック株式会社の社内分社として生まれました。
当社のスローガンである『空気から、未来を変える。』には、健やかな人と地球の実現に貢献したいという強い想いが込められています。
その中で、「水」の領域におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、燃焼式からヒートポンプへの置き換えが世界的に加速されることが予測されており、次なる成長事業を創出するため、2023年4月に水ソリューションズビジネスユニットが新設されました。
水ソリューションズビジネスユニットは、ヒートポンプ給湯機、アジア向けのシャワー、ポンプを事業領域としています。

Q.水ソリューションズビジネスユニットには、どのような組織課題があったのでしょうか?

藤野:そう、本来は全社的に期待されている事業なのです。しかし、元々「空調事業」の中の一つの組織である“陰で支えていた存在”が新たに“前面に立つ存在”となったことで、一体何を期待されていて、何をすればいいかわからないという状態になっていました。特に、発足当時は新型コロナウイルスの影響で方針発表も全てオンライン配信。個々人への浸透も不十分だったことで、ポジティブな感情だけでなくネガティブな感情を持つ従業員もいて、受け止め方もバラバラな状態でスタートを切ってしまったのです。そのため、人事として事業の最大化を図る上でも、まずは「一体感を生み出すこと」が喫緊の課題となりました。

『Make New Waveフォーラム』から、共通の価値観となるビジョンとバリューを生み出す

Q.一体感の醸成に向けた、具体的な取り組みを教えてください。

藤野:改めて、組織のミッションや存在意義について共通認識を持ち、一歩踏み出す機運を高めてもらいたい。そこで、水ソリューションズビジネスユニットが空質空調社に新たな波を起こすという想いを込めて、『MakeNewWave』という活動コンセプトをつくり、ユニット全従業員を集めて想いを共有する『MakeNewWaveフォーラム』を企画しました。

『Make New Waveフォーラム』の目的

・仲間を知ること
・「水」としての事業の可能性を理解すること
・その変化に向けた事業の現在地や立ち位置を知ること
・一歩踏み出すチャレンジマインドを醸成すること

 

Q.『Make New Wave フォーラム』における、リンクイベントプロデュースのサポートについて教えてください。

藤野:この取り組みを自前でやるのは難しいですから、リンクイベントプロデュースにご相談して進めていきました。実は、当初「マネージャーを対象に実施したい」というお願いからスタートしたのですが、「こういう状態であれば、組織全体で同じベクトルを向く方がいい」と逆に提案をいただき、「確かに、その方がいいな」と新たな気づきをいただきました。一方で、今まで組織全員を集めた研修やワークショップは前例がなかったため、他社事例やプログラムの効果なども踏まえて、実現に向けたサポートをしていただけたのが心強かったですね。

Q.フォーラム実施において、大変だったところを教えてください。

藤野:それは、「参加意欲を高めること」です。工場の製造ラインに入っている従業員も多くいますので、工場の稼働を止めて、かつ前向きな姿勢で参加してもらわないと意味がない。そのため、「どうやって発信していくか」というところに力を注ぎました。

Q.参加意欲を高めるための工夫とは?

藤野:「一体感を持ってやっていこう!」とトップから方針や目的を発信しました。その後は、様々な会議体の中で『MakeNewWaveフォーラム』の内容を説明し、徐々に落としていきました。トップからは粒度高く、そこからレイヤーを落として伝える…という流れをしっかり行うことで、結果、ほとんどのメンバーに参加してもらうことができました。

『Make New Waveフォーラム』から、共通の価値観となるビジョンとバリューを生み出す

Q.1回目の『Make New Wave フォーラム』を開催して、印象的だったことは?

藤野:1つは最初のコンテンツである「トップセッション」。これは、組織のミッション・存在意義を改めてトップから発信するというものです。ただ、堅苦しい発表ではなく、インタビュー形式でトップ自身の言葉で想いを話してもらったり、サイコロを投げて出た目のエピソードを話すというアイスブレイク要素も入れながら、全従業員がわかりやすく理解できるようにメッセージの解像度を上げていく工夫をしました。アンケートでも「改めてその想いを共有でき、理解度が高まった」というコメントを多くいただきました。

 

 

藤野:そして、2つ目が「ものづくりワーク」。トップの方針を踏まえて「自分はどういうプロを目指すのか?」というお題で、レゴを使って自らの想いを表現するワークです。ものづくりのプロ集団ということで、仕事の意義や想いを言葉でいきなりまとめるのは苦手でも、レゴで想いを形にするというワークにすることで、かなりの集中力で取り組んでくれたのが印象的でした。自分の作ったレゴを通して想いをそれぞれ共有することで、一体感や気持ちの繋がりができる良い機会になったと思います。緊張の面持ちだった参加者も、最後はみんな表情がほぐれて、楽しんでくれたことも印象的でした。

 

 

Q.2回目の『Make New Wave フォーラム』はいかがでしたか?

藤野:2回目は、24年度の事業方針発表に合わせて4月に実施しました。この場では、「事業方針を理解すること」「全員での協働意思を高めること」「共通の価値観を作り上げること」を目指して開催しました。事業スタートのタイミングで同じ場・想いを共有できるというのは非常に良い機会だなと、改めて思いました。2回目で考えた「大切にしたい価値観」が、現在の水ソリューションズビジネスユニットのビジョンとバリューになっています。

 

 

Q.『Make New Wave フォーラム』を経て、効果や変化はありましたか?

藤野:1回目はアンケート結果から見ても、「水ソリューションズビジネスユニットに所属している意義」をしっかり実感でき、「水のプロとしてやっていこう」という意識を醸成できたことがわかり、意識の変化が生まれたと感じています。それをベースに1年後の2回目では、「共通の価値観を持って、もっと強くなりたいよね」という想いを達成することができました。2回のフォーラムを終えて、目指す方向を組織レベルから自分レベルに落とし込み、自分たちが求められている役割・行動を一人ひとりが理解できる状態になったというのが大きな変化だと感じています。

 

 

Q.今後の展開を教えてください。

藤野:水ソリューションズビジネスユニットは約150人のまだ小さな組織です。組織が成長するためには、もっと個人が変わらなくてはいけない。だからこそ、『MakeNewWave』というコンセプトは変えずに続けていくことが1つの目標です。2回のフォーラムを実施してみて、やはり一方的にメッセージを伝えるだけではダメだなと。これからは一人ひとりに向き合い、立場年齢関係なく、互いに想いを語る「対話」の中でメッセージを落とし込むことが有効だと実感しました。「対話」を通じた協創・協働・切磋琢磨をポイントに、今後の施策へと繋げていきます。

事業成長のための人事施策を実現させる“秘訣”とは?

Q.「もっと組織をつくっていこう」という、藤野氏のモチベーションの源泉はどういうところにあるのですか?

勝野:「やるからには一番を取りたい」、ただそれだけです。私の所属する組織を一番にしたいし、誰もが認めるいい組織をつくりたい。そのために、人事は“オペレーティブ”ではなく“イノベーティブ”な意識を持つべきだと思っています。もちろん、人事が何かを変えられるかというと全然そうじゃない。ただ、そのきっかけ作りが僕らの仕事だと思うので、常に“イノベーティブ”な意識で取り組むことを心がけています。

Q.一方で、イノベーティブな施策は受け入れられづらいという話も、よく耳にします。

勝野:そうですね。人事の取り組みって目に見えないし、すぐに成果が現れないことも多い。
メリット・デメリットで意見が混在すると流れてしまう可能性もあります。
その中でコンセンサスを得て、貫いて、実行するためには意思や想いが必要で、そこにトップや責任者をしっかり巻き込むことが重要だと思っています。

Q.『Make New Wave』では、どんな想いを語られて、トップや責任者の方々を巻き込んでいったのですか?

勝野:パナソニックは100年以上の歴史を持つ大きな会社になり、経営理念をはじめ、本来持っていた共通の価値観などが、解釈の違いなどを含め少しずつバラバラになってきているように感じています。どんなに優れた戦略を立てても、それを実行する土台(=風土)がなければ絵に描いた餅になると思います。その土台を作るのは「人」であり、目先の施策に走っても意味はなく、やはり「人」が変わらなければ何も変わらない。もちろん、すぐに効果が出るわけではありませんが、こうした取り組みをやり続けることで自立した個人ができ、強い集団になる。そう言い続けて、そこに共感していただいたのだと思います。

 

 

株式会社リンクイベントプロデュース 代表取締役社長 松田 佳子より

「日本の空気ってすごく澄み渡っているな」「水が安心して飲めるな」と感じる背景に、日本の技術があることを、空質空調社と出会って知ることができました。そんな『空気から、未来を変える。』という実現のために、藤野様自身が熱い想いを胸に、自分の役割・やるべきことをしっかりと考えているのが、すごく素敵だなと思いました。私たちもその想いを胸に、御社の事業成長のために、そして地球のために、これからも弊社は『MakeNewWave』の実現を全力でサポートさせていただきます。

本事例のサマリ

本施策の目的
事業再編 / 組織変化における、社員の「不安払拭」と「一体感の醸成」

【読んでいただきたい方】
・組織の大転換期(M&A、組織統合など)における組織課題をお持ちの方
・メーカー大企業の組織風土変革の取り組みを知りたい方
・事業統合 / 再編等、組織変化のタイミングにおける一体感醸成をしたい方
成功のポイント
①オペレーティブ”ではなく“イノベーティブ”な意識で取り組むこと
②コンセンサスを得て、貫いて、実行するための強い意思・想いを持つこと
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