お役立ちコラム

2020年12月01日

これからの入社式に求められること

企業には、必ず毎年巡ってくる大きな節目がいくつか存在しています。その中の一つが入社式。時期は少しばらつくこともありますが、 新卒採用を行っている企業においては、「4月の頭」の恒例行事として当たり前の機会となっているかと思います。
そんな中、今企業と社員の関係性は徐々に変わってきています。この関係性の変化が入社式に及ぼす影響をまとめました。皆様のご参考になれば幸いです。

企業と社員の関係について

振り返れば高度経済成長期から2000年初頭頃までは、企業と社員の関係性は、「相互拘束関係」と言えます。
年功序列、終身雇用といった制度が、経済も右肩上がりの中、非常にフィットした時代です。長く同じ企業で働くことで 企業も社員もWin-Win(顧客もWin)になる状況でした。主従関係をつけるとすると、「主:企業、従:社員」と表現できるのではないでしょうか。
時代は変わり、商品市場はハード→ソフト化が進みました。モノつくり日本の右肩上がり経済は崩壊し、外部環境変化のスピードが圧倒的に高まりました。商品市場に向き合うためには外部環境の変化に対応し、新たなサービスを生み出す人材の重要性が高まっています。
一方、資本市場においても、人的資本の情報開示を求めていく動きは加速し、企業の中における人材の位置づけが高まっています。
優秀な人材にパフォーマンスを発揮してもらえる環境を整えていくことが企業成長において重要なファクターとなっており、「主:社員、従:企業」といった関係に移行しつつあると捉えています。

これまでの入社式の傾向

多くの企業が入社式を行っていると思いますが、その内容はどうしても「企業側が伝えたいことを伝える場」という印象が強いです。
トップからのお祝いやねぎらいのメッセージがあり、それに対して、新入社員からの誓いの言葉を受ける。合間に、芸能人などの講演を盛り込むことで、入社への歓迎を示す、そんな入社式が多いと感じています。 これは、どこかで「主催側=企業」と「参加側=新入社員」の関係性が、「主:企業、従:社員」の上下関係を前提にしていた時代からの踏襲であるとも受け取ることは可能です。
もちろん、新入社員の立場からすると、これからこの企業で新しい人生を歩んでいく、という決意の基この日を迎えているわけであり、上記のような入社式を通じて「歓迎してくれたことに対する感謝」を感じることは多々あると思います。
しかしどこかで、このような入社式を行っている企業の主催側は、「よくぞ弊社に入社できましたね!」という上から目線でのスタンスが残っていることも多いのではないでしょうか。

これからの入社式の在り方

入社式は読んで字のごとく、その企業に入るための機会であり、社員という立場で、 一番初めにこの企業を知ることができる機会です。コロナ禍において、見えない未来に不安を抱いていることが想定される新入社員に対して、 「この会社に入ってよかった!」「この会社ならば自身が成長して貢献していきたい!」といったレベルまで入社式を通じてメッセージすることが理想であると考えます。 「会社側のスタンスを明確に示しつつ、この会社で皆が自立して働く可能性や魅力を伝達する機会」として位置付けられると、新入社員としてのマインドセットを可能にできると考えます。 関係性で見ても、変に迎合するという意味ではなく対等、もしくは「主:社員、従:企業」といった状況を意識しておくことが設計のポイントになります。
また、メッセージとしては、その企業のオンリーワン性・らしさをしっかりと紐解き、伝えていくことが重要になると思います。
入社式等で発信されている訓示は「昨今~未来」を時間軸としたメッセージが多く、「過去をしっかりと振り返る」ことはしていません。しかし、その会社のオンリーワン性・らしさは、創業から今に至るまでの過去の経営判断の 中に存在しています。ここを紐解き、この会社を創り上げてきた先人たちの意思決定、判断基準を 自社のオンリーワン性・らしさとして言語化し伝えることで、新入社員に自社の魅力を伝えていくことが 大切であると考えます。
そして、先人たちが切り開いてきたように、ここにいる皆、一人一人が自律的に行動し、 未来を切り開いていく、といったメッセージをしっかりと届けることが求められていると考えます。

今回は入社式について、企業と社員の関係性から伝えるべきメッセージを紐解いていきました。
今年の入社式はいつもとは状況が違います。この機会に自社の魅力を伝達し、新入社員が適切な マインドセットをされて入社してくる状況を創っていきましょう!

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