支援事例

株式会社日立製作所

社長ブランド表彰 Inspiration of the Year Global Award 2020

日立グループ初!
世界の社員をつなぐオンライン・インターナルイベント
グループ全員で「日立ブランド」の価値向上をめざす

株式会社日立製作所

世界に30万人以上の従業員を擁する日立グループ。そのインターナルブランディングの一環となるグローバル表彰制度、「社長ブランド表彰 Inspiration of the Year Global Award」の表彰式イベントが、2020年12月9日に開催されました。
今回初のオンライン開催でありながら、オープンな共感型イベントとして成功を収め、グループ内に新風を吹き込んだと言います。オンライン化によってどう変化を遂げ、いかに成功へと導いたのか。企画運営を担った3名に、お話を伺いました。

ブランド・コミュニケーション本部 グループブランド戦略部長

紺野 篤志 様

社長ブランド表彰を含むインターナルコミュニケーションの実行責任者。グループ社員のエンゲージメント向上に向けた各種施策を取りまとめ、グローバルチームとともに推進している。

ブランド・コミュニケーション本部 グループブランド戦略部 ブランド戦略グループ部長代理

杉田 梨愛 様

社長ブランド表彰のプロジェクトリーダーであり、表彰式の司会進行役も務めた。

ブランド・コミュニケーション本部 グループブランド戦略部 ブランド戦略グループ 主任

瀧本 翔 様

社長ブランド表彰の企画運営責任者として、国内外の事務局メンバーをまとめ、関係各部署との社内調整を担った。

インターナルブランディングの中核を担う
グローバル表彰制度「社長ブランド表彰 Inspiration of the Year Global Award」

Q. まずは「社長ブランド表彰 Inspiration of the Year Global Award(以下、社長ブランド表彰)」について教えてください。

紺野:日立グループは世界約850社の企業で構成され、海外企業のM&Aも積極的に行われています。その中で、地域も事業内容も歴史も異なる会社が、グループ一丸となって力を発揮するためには、1つの価値観を共有することが大切。そのために確立されたのが、「日立グループ・アイデンティティ」であり、これをグループ全体に浸透させることがインターナルブランディングの重要な目的かつ、経営戦略の1つになっています。

杉田:社長ブランド表彰がスタートしたのは、「ブランド経営」という言葉がまだ世の中に浸透していなかった2003年。社員に向けて経営の中核にブランド戦略を据える重要性を知ってもらうため、日立グループ・アイデンティティを実践し、日立ブランドの価値を向上させたプロジェクトを表彰する目的で始まりました。その後、世界中の全日立グループ従業員を対象にした「Global Award」として世界を6地域に分け、地域毎に募集・審査し、各地域の代表として6名のグランプリを表彰する現在のグローバルな表彰制度へと進化し、リンクイベントプロデュース(以下リンク)さんにはその頃からサポートいただいています。

Q. コロナ禍ではありましたが、今回社長ブランド表彰開催に踏み切られた経緯とは?

紺野:前年までの社長ブランド表彰も、評価の高いプログラムでした。6地域のグランプリ受賞者を日本に集めて表彰式を実施し、日立の歴史やブランドを学ぶ教育プログラムでマインドセットを変えて、社長との座談会「Round Table」で締めくくる。最終的に受賞者は、日立ブランドの伝導師となる「ブランドアンバサダー」として各地域で活躍していただくという流れです。2020年度もこの流れで進めるつもりでした。

杉田:ところが、春頃から新型コロナウイルスの猛威が広がり、風向きが変わってきたんです。そこで、各地域の事務局メンバー(インターナルブランディングをグローバルに推進していくため、日立では各地域のコミュニケーション責任者を事務局に任命しグローバルチームで運営している)を含めて議論しました。すると、「難しいよね」という声あがると思いきや、逆に「こういう状況だからこそ、社員の士気を鼓舞するために開催すべき」という前向きな声がすごく多かったんです。

瀧本:さらに、グローバルチームからは「コロナ禍で、自分に何ができるか、社会にどう貢献できるか、と考えて実践している社員がたくさんいる。そうした活動も募集して、グループワイドに共有し、みんなのポジティブなパワーに変えていきたい」ということで、「今だからやる価値がある」という強い意志のもとでスタートに踏み切りました。

世界中の社員を巻き込めるインタラクティブなオンラインイベントへ

Q. 今回の社長ブランド表彰の特徴を教えてください。

瀧本:募集フェーズでは、先ほどのグローバルチームの声を取り入れて、応募要件に「新型コロナウイルス対策に関する取り組みで社会に貢献した活動」を追加しました。すると、締切間近になって応募がグングン伸びて、「どこまでいくんだろう」ってチームで驚いたほど。最終的に、応募数は前年比130%まで増加。やはり、「コロナ禍で、自分に何ができるか、社会にどう貢献できるか」という強い想いの込められた活動を発信できることが、応募意欲をかき立てたのだと考えています。

杉田:そして、一番の大きな変化が、表彰式イベントのオンライン化です。これを機に、社長ブランド表彰をもっとオープンなイベントにしよう、という方向性が決まりました。従来は世界6地域の受賞代表者と経営者だけのクローズドな表彰式でしたが、今回は受賞チーム全員、さらには応募者にも全員参加してもらおうという形になりました。

Q. オンライン開催にあたって苦労した点や、工夫した点はありますか?

紺野:苦戦したのは「発想の転換」でした。つまり、従来のイベントがよくできているプログラムだっただけに、そこから離れるという決断が大変だったんです。

杉田:どうしても、これまでの成功体験にとらわれて、従来のプログラムをオンラインでいかに再現するかで進んでしまい、「そうじゃなくオンラインだからこそ何ができるの?」と紺野さんが引き戻して考え直すということを繰り返していました。夏を過ぎてもなかなか見えない状況で、チームやリンクさんと何度も議論して、そこはかなり苦労したことの1つでした。

紺野:でも、そこから2人は「再現ではなくオンラインならではの新しい価値をつくる」と踏み出してくれたんですよ。

杉田:オンラインの価値は、参加者とつながれること。なので、いかに熱量が共有できるインタラクティブなイベントにするかに注力し、プログラムや施策を再設計しました。そして新しい価値の1つが、「インスピレーショナル・スピーチ」という新コンテンツ。これまで、イベントのハイライトだった社長と受賞者の「Round Table」は1時間の座談会で、オンラインで見るには長すぎます。そこで、受賞者6名が熱く挑戦ストーリーを語り、参加者がリアルタイムで共感できる仕掛けを「インスピレーショナル・スピーチ」に込めました。

瀧本:ですが、前例のない試みなので、準備にはかなり苦労して、例年にはない膨大なコミュニケーションが必要でした。多忙で時差のある受賞者たちと打ち合わせや練習を重ねるための調整、さらに、社内の関係各所との調整ですね。初の従業員向けオンラインイベントだったので、Zoomのセキュリティや会場のIT設備、参加者のIT環境から双方向性技術まで、すべてに確認が必要で、普段関わりのないIT部門、法務部門、人財部門などを巻き込み、実現に向けて協力を得るには手間も時間もかかりました。

日立グループ・アイデンティティの体現を促し、経営の根幹を担う施策に

Q. 開催してみて、正直な感想や評価を教えてください。

杉田:本当に最高のイベントになりました。終了後のアンケートは、満足度96%。イベントを通しての日立グループ・アイデンティティへの共感度は97%。流した映像やスピーチも、軒並み高い満足度をいただきました。イベント中は、世界中の参加者から想像以上の数のチャットが流れてきて、「日立の社員として誇りを感じました」「こういうインスピレーショナルな体験がほしかった」「こんなイベントを待っていた」と言ってくれた人もいて、本当に嬉しくて、感情がこみあげてきました。こういう時だからこそ、つながることの大切さを実感したし、まさに、世界中のみんなと熱量を共有できたという一体感がありました。

瀧本:例年に比べて、コンテンツにスピード感もあり、あっという間。まさに「興奮」の一言。準備に苦労したスピーチは、6名それぞれが感動的で、そこに「おめでとう」「インスパイアされた」「モチベーションが上がった」といった多くの声がリアルタイムで入ってきたことにも興奮しました。その裏で、グローバルチームのメンバーは受賞者と伴走して、我々やリンクさんからの厳しいフィードバックを伝えてもらったり、モチベーションを上げてもらったりしていました。また、過去のグランプリ受賞者も飛び入りでスピーチの練習会に参加してくれて、アドバイスや、社員を鼓舞するブランドアンバサダーとしての心構えや思いを語ってくれたのです。どの受賞者も忙しい合間を縫ってスピーチの練習の時間に割いてくれて、見事なスピーチを披露してくれました。みんなの努力や協力を知っているからこそ、感動も大きかったですし、その成果としてチャットやアンケートでも良いコメントが出たのだと思います。

紺野:今回の表彰式イベントによって、グローバルに多くの社員がオンラインでコミュニケーションできることが実証されました。これは、日立の中でもすごいインパクトで、特に経営幹部がこのオンラインコミュニケーションを高く評価し、注目するようになりました。すでに幹部からの引き合いもあり、すごく嬉しい反響ですね。また、何より印象的だったのは、社長がイベント中は終始笑顔で、参加者の集合写真もみな笑顔なんですよ。世界的に苦しい時期に、トップを含めてみんなが笑顔になる瞬間をつくることができたのは非常によかったと思います。

Q. これからの社長ブランド表彰は、どう進化、変化していきますか?

瀧本:これからは、もっと間口を広げて、社員に親しみやすい表彰式イベントにしていきたいですね。正直、日立の表彰式は「お堅い」イメージがあったのです。しかし今回、参加者の目線で、コンテンツ、流す映像や音楽、司会進行など、飽きさせない工夫を考え抜き、結果、いい意味で「日立らしくない」という声をいただき、「感動した」「次も参加したい」「出てよかった」とポジティブに世界中の社員の心を動かすことができました。こんな仕事は初めてでしたし嬉しかった。私自身の殻も破ることができたと感じます。だから次はもっと多くの人の心を動かしたい。そう思っています。

杉田:今回の経験を経て、改めて社長ブランド表彰は完成形でなく、もっと社員に新しい刺激を与える仕組みとして進化していかなくてはいけないと強く実感しました。30万人を超える日立グループの全社員が1つになれば、未来を変える力が生まれる。だから私たちはみんなを繋ぎたいのです。そうした強い思いを共有しているパートナー選びも重要で、リンクさんはオンラインイベントの豊富な知識や経験に裏打ちされたアドバイスやアイデアをくれるだけではなく、クライアントの思いを汲んで一緒に悩み、私たちの「やりたい」を実現するために全力を尽くしてくれる、本当に心強く頼れるパートナーでした。

紺野:今回、チームは数多くの初めてに直面し、特に2人は辛かったと思いますが、その分、最後は存分に楽しめたのではないでしょうか。その裏で、私たちのアイデアをより大きなスケールで実現してくれるイベントのプロが一緒に伴走してくれたのは、すごく心強かったと思います。これから社長ブランド表彰は、より一層、日立ブランドの価値を社内外に発信する中核となり、経営の根幹を担う施策になっていくと思っています。だからこそ、リンクさんにも、これからどんどんハードル上げていきますので(笑)、一緒にチャレンジを楽しみながら、作り上げていけたらと思っています。

杉田氏はグローバル表彰式の司会を務めた

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